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あまくさ

Author:あまくさ


 平将門の生涯を追うと、平安時代中葉~後半期の関東地方が、深刻なアナーキズムにつつまれていたことがわかります。東北の蝦夷との強いられた戦争。都の権門や国司たちによる過酷な搾取。
 関東の武士や民衆は、みずから汗を流して開拓した農地を守るため、立ち上がりました。それが、将門をリーダーとする大反乱です。
 将門は「新皇」と名乗り、「関東独立王国」を建設しようとしましたが、この歴史上初めての壮大な実験は、あえなくついえました。彼らの政権構想が、あまりに未熟だったからです。
 将門と坂東武者たちの見果てぬ夢。それが実現したのは、2世紀あまりのちのこと。源頼朝の登場まで待たなければなりませんでした。
 鎌倉幕府成立の本質は、武士による革命であり、働く者を社会の中心にすえる「世直し」とも言えるものでした。


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51 悩める生徒会長

1.2010年度概算要求

 2010年度当初予算の概算要求額が、過去最大の95兆円超に。マスコミなどでは、この話題で騒然としています。
 確かに、ここに及んでの赤字国債の増発は看過できませんが、政府は「行政刷新会議」での精査において要求額の減額をはかるとのこと。

 まあ、あくまで「要求」の段階ですからね。これからが勝負と言うのであれば、「お手並み拝見」と見守るしかありません。


2.Yes!プリキュア5

 ところで。

 最近、数年前のあるテレビ・アニメを観る機会があり、これが妙にタイムリーな内容でした。

 番組名は、『Yes!プリキュア5』。


 ちょっと説明します。
 プリキュア・シリーズというのは、日曜の朝に放映されている、ABC、ADK、東映アニメーション制作の少女向けアニメ・シリーズ。2004年に第1作の『ふたりはプリキュア』がスタートし、2009年現在は6作目にあたる『フレッシュプリキュア』が進行中です。
(ただし、このシリーズは何度かキャラクターと設定が一新されており、2年前に放映された『Yes!プリキュア5』と、今年の『フレッシュプリキュア』は、完全に別の話になっています。)

 さて。
 『Yes!プリキュア5』は、2007年に放映されました。
 この年の主人公は、「夢原のぞみ」という少女。中学2年生です。(このシリーズ、主人公が中2の女の子というところは共通しています)
 「プリキュア5」は、この夢原のぞみと、同じサンクルミエール学園という女子中学校に通う4人の友達で構成されるグループです。ふだんは普通の女の子たちなのですが、毎週のエピソードの後半、だいたい似たようなタイミングで悪役キャラクターの襲撃をうけると、「プリキュア」という少女戦士に変身して戦います。
 物語は「光と闇」「希望と絶望」の相克をテーマにしたファンタジーで、1年を通じてのストーリーの流れがあるのですが、ひとつひとつのエピソードは毎週30分枠の1話完結という構成になっています。
 
 夢原のぞみ以外の4人のプリキュアは、のぞみの幼馴染でスポ-ツ万能の「夏木りん」、女優をめざしている「春日野うらら」、才色兼備の生徒会長「水無月かれん」、図書委員で小説家志望の「秋元こまち」。かなり派手なメンバーです。
 ふだんは普通の女の子、と書きましたが、この場合の「普通」は、「普通の人間」という意味で、4人の経歴やキャラクターは普通とは言いきれないほど華やか。

 そんな中で、夢原のぞみだけは、本当に普通の女の子です。
 勉強はダメ。スポーツもイマイチ。要領はわるい。
 平均点80点のテストで18点しかとれず、かれんに「まあ、かわいい数字」と呆れられたことがあります(笑)。
 とりえは、底抜けに明るいところだけ。そんなのぞみですが、「プリキュア5」のリーダーは彼女です。

 余談ですが、この作品のプロデューサーのインタビューを読んだことがあります。夢原のぞみというキャラクターを設定するにあたり、5人のとても個性の強いメンバーのリーダーになることができるのはどんな少女なのか。そう考えたそうです。

 夢原のぞみというキャラクターについては、後述します。


3.悩める生徒会長

 ところで、プリキュア・シリーズの特徴として、悪の組織との戦闘シーンよりも、各エピソードの前半で描かれる主人公たちの家庭や学校、友人関係などをめぐる日常のストーリーの方が秀逸な場合が多いということがあげられます。

 今回紹介するのは、第14話。生徒会長の水無月かれんが、部活動の予算の配分で悩むストーリーです。
 話が「概算要求」に近づいてきたでしょう(笑)。

 水無月かれんは、容姿端麗、成績は優秀。後輩からの人望もあつく、教師たちにも一目おかれています。父はピアニスト、母はバイオリニスト。両親とも1年中演奏旅行で世界をまわっているため、じいやと二人の豪邸暮らしです。
 これでもかというほどの華麗な境遇。

 エピソードの冒頭。夏木りんが、所属するフットサル部の部費の増額をかれんに頼むシーンから始まります。
 それが呼び水になったかのように、かれんのまわりに部活動の代表たちがむらがります。口々に、部費の増額を要求。騒然となります。
「(部活の費用は)年間予算で決められているのだから、各部とも、その中でやりくりしてください!」
 きっぱりと、言いわたすかれん。

 ランチタイムになります。
 のぞみとうららが、弁当のおかずの「玉子焼き」と「タコさんウィンナー」を交換しています。これは後の伏線。
 食事しながら、のぞみがりんに質問します。
「部費がないって、そんなに大変なの?」
「たいへんだよ。たとえば、今のぞみはお弁当だけじゃあ足りないから、焼きそばパンを買おうって、そう思ってるでしょ?」
「うん。そのとおり!」
 なんでわかるの? っていう顔をしています(笑)。
「もしもだよ、お小遣いが足りなくって、焼きそばパンが買えなかったら?」
「うえ~! そんなのヤダヤダ」
「部費がないって、そういうこと。部活で必要なことがあっても、買えないってことなの」
「そんな~! お小遣いが足りなくて焼きそばパンが買えないなんてヒドイ! 私だったら、お母さんにお小遣いを増やしてもらうな」
 あつかいやすい、のぞみ。いとも簡単に誘導されています。

 この会話を聞いていた、かれん。
 彼女にはそれぞれの部の事情も理解はできるし、一度は予算増額要求をつっぱねたものの、できたらなんとかしてやりたいとも思っています。

「私だったら、お母さんにお小遣いを増やしてもらうな」

 のぞみのこの言葉に、ちょっと表情が反応。ダメもとで、予算の総額をふやしてもらうことを、かけあってみる気になったようです。そこで、教頭室に。

 案の定、教頭先生の返答は、
「生徒会からの申し入れとしてとして、理事長には伝えます。とは言っても、やはり無理だと思いますよ」

 教頭室から出てきたかれんを、ベンチにすわって待っていたのは、親友の秋元こまちでした。

「やっぱり、だめみたい」
 と、ためいきをつくかれん。
「のぞみじゃあないけれど、いっそ私もお父様にたのんで、部活動の費用を援助してもらおうかしら」
 と、こぼします。
「それじゃあ、なんの解決にもならないわ」と、こまち。
「わかってる。冗談よ」

 そんな会話の後、かれんはまたもや部活代表軍団にとりまかれるはめに。
「生徒会長! やっぱり無理だよ」
「もっと部費を増やしてもらわなくちゃ!」
「なんとかしてよ! 生徒会長なんでしょう?」
 途方にくれる、かれん。
 ここで、最初の助け舟をだしたのは、親友のこまちです。

 こまちは、いつもは優しくて、ひかえめ。めったに怒気をみせることなどない少女です。
 しかし、この時ばかりはテーブルをたたき、
「みんな、おかしくない? 自分たちの部活なんだから、問題は自分たちで解決しようとするのが普通でしょう? 生徒会長に頼るまえに、何とかしようと努力したのかしら?」
 ふだん温厚な人が、たまに怒ると迫力があります。
 みんな少し気おされますが、不満はくすぶっている様子。
 その時、
「こまちさんの言うとおりだよ」
 りんが応じました。
「たしかに、私たち、自分では何もしないで生徒会長にばかり頼ってた。ごめんね、かれんさん」
 かれんとりんは、どちらも気が強く負けず嫌いな少女として描かれています。それがこうじて、べつのエピソードでは対立していたこともあります。
 しかし、こういう時は、きっぷのいいりんです。

 そして、主人公、夢原のぞみに出番がまわってきます。

「ようし、みんな。一列に並んで。ほしいものは何? 順番に言ってみて」
 妙に明るく言う、のぞみ。
 みんなはあっけにとられ、
「・・・・・て、買えるあてがあるの?」
「ぜんぜん、ない!」
 みんな、ずっこけます。しかし、のぞみはあくまで明るく、
「でも、みんなで意見を出しあえば、きっと、いいアイデアが出るよ。お弁当だって、みんなで交換しあえばおいしいよ」
「アイデアとおかずは、ちがうでしょ!?」
 りんにつっこまれてしまいますが、生徒会長は何かピンときたような表情になります。
「でも、のぞみの言うとおりかも」
 みんな、えっと驚きます。
「そうですねえ。一度話を聞いてみないことには、わかりませんものねえ」
 と、うらら。
「はあ・・・・・ そうかなあ」
 と、まだ納得できないおももちのりん。
「それじゃあ、みんな。ほしいものを順番に言って」

 この後、主人公たち5人は手分けして各部活におもむき、実情を見てまわるということをはじめます。

 まず、演劇部。
 つぎの公演に使う衣装が準備できないとのこと。
 演目はと聞くと、「源氏物語」。なるほど(笑)。それは、めちゃくちゃ衣装代がかかりそうです。
 ここで春日野うららが、発言。
 もっと費用がかからない演目に変更しては、と。
「金太郎はどうですか?」
 お嬢さん、それはちょっと(笑)。お金の節約だけを優先した提案。いくらなんでも、通らないでしょう。
 こまちが、もう少し巧みなアイデアを思いつきます。
 各部からの聞き取りで、手芸部も発表会を準備していると言っていたのを思い出したのです。
 手芸部の言うには、生地を購入すると発表会場をもうける費用が捻出できなくなる。
 そこで、ふたつの企画をコラボレーション。「源氏物語」の衣装を手芸部の作品発表のテーマとし、劇の上演を発表の場にします。生地の購入と会場の費用は、ふたつの部で折半するわけです。

 同じような調子で、主人公たちは他の部の問題も何とか解決にこぎつけました。

「交換って、こういうことだったのか。さすが、生徒会長。のぞみが言ってることは、ぜんぜんわけわかんなかったけど」
 かれんの構想力に、りんは感心することしきり。
「え~~! なんで~?」
 と、ちょっと不満そうなのぞみ。
「私ははじめから、こうういうつもりだったんだよ」」
 と主張しますが、
「うそつけ」
 と却下されます。


4.正直に、ざっくばらんに

 感想を少し。
 この物語の中で、部費問題がわりとすんなり解決したのは、もちろんアニメだからです。現実は、そんなに簡単ではありません。
 ただ、私が感心したのは、結果ではなくプロセスの方です。

 ひとつは、要求をまず言うだけ言わせるという発想。
 その方が、問題の所在が洗い出されるのでは、という考え方です。

 このアニメ、国のレベルで今起こっている問題を、ものすごく小規模にやっているなあと思いました。

 概算要求、95兆円。

 たいへんな金額ですね。
 しかし、ちょっと発想を変えてみるのはどうでしょう?

 そもそも、これまでの「概算要求基準」というのが、少しいかがわしかったのではないでしょうか。
 要求額が大きくなりすぎるのを防ぐために、あらかじめ上限を設定するということでしょう? 
 いいことにも聞こえますが、「何が必要」で、「何が削れるのか」という議論が国民の目から隠されてしまい、政府(官僚)が勝手に決めてしまうということにつながってきたのではないですか?

 発想を変えてみませんか。
 要求額なんて、95兆円でも200兆円でもけっこう。
 何が必要なのか(必要だと思うのか)、言いたいだけ言わせてガラス張りで議論するのならば、その方がこの国の問題点がよほどよくわかると思います。

 正直にやろうぜ。もちろん、最後は減らすのよ。

 そんなことを思ったのが、まずひとつ。


5.リーダーシップ

 そして、主人公、夢原のぞみです。

 部活の代表たちは、今の予算で活動するのは「無理」だと言います。
 生徒会長は、予算枠を増やすのは「無理」だと考えます。

 無理。無理。無理。

 みんなが、何かが無理だと思っているときに、突然のぞみが声を上げます。
「ようし、みんな。一列に並んで。ほしいものは何? 順番に言ってみて」

 発想が違う。

 このアニメのプロデューサーとスタッフは、個性豊かなメンバーのリーダーとなれるのはどんな少女なのかと考えました。

 その答えが、夢原のぞみの、大らかな楽天主義です。

 彼女は、よく、

「大丈夫だよ」

 と言います。

 現実の困難にうちひしがれ、出口はないとみんながあきらめかけたとき、この少女はいとも平然として、

「大丈夫だよ。なんとかなるよ」
 と言います。
 根拠はまったくありません。無責任と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。
 この言葉には、「理屈」ではなく、「意志」がこめられているのです。

 どんなに頭のいい人にも、答えが見つからない時はあります。
 どんなに勇敢な心も、くじける時があります。
 善良でまっすぐな心にも、ねたみや猜疑心が芽生える時があります。
 そんな時こそ、のぞみは、
「大丈夫だよ」と言います。


 人々の「気持ち」をかえるのが、のぞみの役割です。
 そして、そこから先は、生徒会長かれんの役割になります。

 このエピソードがすぐれていると私が思ったのは、のぞみの「楽天主義」から、かれんの現実的な「構想力」へのバトンタッチが見事だったからです。

 のぞみの発想には、人を動かす「力」はありますが、中身はお世辞のも優秀とは言えません。深く考えもしない、ただの思いつきです。内容もありきたりで、みんなでアイデアを出しあおうと言っていたにすぎません。
 しかしかれんは、「縦割り」のしくみの中にムダや非効率がひそんでいることに気づいていたようです。
 彼女はのぞみの発言をヒントにして、「企画を融合することにより、1プラス1を、2ではなく、3にも4にもする」という設計図を、脳裏にイメージすることができたのです。

 かれんには、のぞみの思いつきを具体化する構想力がありました。
 そして、もうひとつだいじなのは、取りまとめる力です。
 先にも書きましたが、かれんには人望があり、この人が動き出せば物事はなんとかなるという信頼感をみんなからよせられています。

 ふたつの企画を合体させるなどということは、かなり優秀なコーディネーターがいなければ実現できないでしょう。
 なぜかというと、誰だって目先の利害が気になるからです。
 大胆なアイデアにのることには、リスクがあります。本当にこういうやりかたで上手くいくのか、と不安になります。
 のぞみの「大丈夫」という言葉は、一瞬、人をはっとさせるのですが、いざ実際に何か行動しようとするときには、それだけでは心許ないのです。
 手堅い実力に定評があり、「頼りがいがある」と信頼できる人物に指導されれば、人は動くのではないかと思います。


 エントリの48で紹介した、「囚人のジレンマ」を思い出してください。

 二人の囚人がいます。

① 二人とも黙秘すれば、どちらも懲役1年。
② 二人とも自白すれば、どちらも懲役5年。
③ 一人が黙秘、一人が自白した場合は、黙秘した方は懲役10年、自白した方は釈放。

 二人にとっての最大の利益は、①の選択です。ところが、現実には二人とも②を選択してしまいます。
 なぜか。
 黙秘は、一人一人には最悪の結果である③にむすびつくからです。だから、二人にとって最善なのは①だと理屈ではわかっているのに、それが選択できません。

 目先の利害をこえて、みんなにとっても自分にとっても①が最善なのだと納得させるのは、とてもむずかしいことだと思います。
 物語の中で、のぞみとかれんの連携プレーは、そういうことをやっていたわけです。

 近頃、「政治主導」という言葉をよく聞きますが、たんに官僚主導か、国会議員が主導するのかという意味で言っているのだとしたら、ばかばかしい話だと私は思います。

 希望。構想力。信頼し、納得して行動させること。

 政治に求められているのはこの三つだと思うのですが、いかがでしょうか。



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